日本ゴルフツアー機構(JGTO)は、2025年シーズンからレギュラーツアーと下部ツアーをインターネット配信することを発表した。現時点では全試合を対象としているが、詳細は未定とのことである。
今シーズンまで一部のレギュラーツアーと下部ツアー全試合を配信していた「Abema」との契約が終了となり、新たなパートナーを探すことになるだろう。
本記事では、「国内男子ゴルフツアーの2025シーズンがどこで配信されるのか?」の考察と最新情報を紹介する。
国内男子ゴルフツアー2025を配信するのはどこ?
配信先候補①:「SPOTV NOW」

「SPOTVNOW」はMLBやスコティッシュ・プレミアシップ、サウジリーグなど海外スポーツを中心に配信しているサービスであり、韓国のEclat Media Groupを親会社とする株式会社 SPOTV JAPANが運営している。
23-24シーズンまでは2シーズンに渡りプレミアリーグの配信を行なっていたため、海外サッカーファンには馴染みがあるかもしれない。
なぜ海外スポーツを多く取り扱う「SPOTVNOW」がJGTOの配信をする可能性があると考えているのか?
考察:プレミアリーグ損失によるコンテンツ不足
前述の通り、「SPOTVNOW」では2シーズンに渡りプレミアリーグを全試合配信していた。
プレミアリーグといえば、サッカーにおいて最も人気の高いリーグであり日本にも多くのサポーターがいることで知られている。
しかし、24-25シーズンから30-31シーズンまでの7年間は「U-NEXT」がプレミアリーグとのパートナーシップ締結を発表したことで、「SPOTVNOW」での配信は終了となった。(「U-NEXT」は全試合独占配信を発表している)
USEN&U-NEXT GROUPの株式会社U-NEXT(本社:東京都品川区、代表取締役社長:堤 天心)は、世界最高峰のプロサッカーリーグ「プレミアリーグ(イングランド1部)」と、8月17日(土)に開幕する2024-25シーズンを皮切りに2030-31シーズンまでの7年間にわたるパートナーシップ基本契約を締結、日本国内における全試合の独占配信を開始いたします。また最も長い歴史を誇るカップ戦「The Emirates FA Cup」も独占配信いたします。
「U-NEXTがサッカー・プレミアリーグと7年間のパートナーシップ基本契約を締結。日本国内の全試合独占配信のほか、The Emirates FA Cupも独占配信決定。今後ホテルや商業施設等へ提供を拡大」(PR TIMES)より引用
「SPOTVNOW」のコンテンツを考えると、大谷翔平の活躍で過去最大の注目を集めているMLBと日本でもトップクラスの人気を誇るプレミアリーグが柱になっていたことは言うまでもないだろう。
その重要な柱を失った今、新たな柱となりうるコンテンツ補充は「SPOTVNOW」最大の課題である。
国内男子ゴルフツアーの人気は試合数の減少からも分かる通り低迷気味ではあるものの、ゴルフというコンテンツの可能性はまだまだある。
特に海外男子ゴルフツアー(PGA)や国内女子ゴルフツアー(JLPGA)では、松山英樹をはじめ人気選手が数多く活躍しており、試合への注目度も高いため「SPOTVNOW」を救う大きな柱になり得るだろう。
それらのコンテンツを獲得するための第一歩として「SPOTVNOW」がJGTOの配信権を狙ってくる可能性は高いと考える。
考察:韓国やニュースメディアでの実績
韓国の「SPOTV」では2025シーズンのPGAなどゴルフコンテンツを配信することが確認できたため、日本でもゴルフコンテンツを開拓してくる可能性があるのではないかと考えている。
また、同社が運営するスポーツメディア「SPOTVNEWS」にはJLPGAを中心としたゴルフコンテンツに関する記事が確認できる。(2024年6月を最後に更新は止まっている模様)
これらも「SPOTVNOW」が今後ゴルフコンテンツを獲得する伏線なのかもしれない。
あるいはJLPGAとJGTOの両配信権の獲得していく可能性もあり得る。
懸念点:日本でのサービス知名度が低い
「SPOTVNOW」は他スポーツ配信サービスに比べて、国内知名度が低いことが懸念点である。
MLBやプレミアリーグの配信実績はあるものの、どちらも独占配信ではないことから「SPOTVNOW」以外のサービスで視聴しているユーザーも多い。(MLBは「ABEMA」、プレミアリーグは「U-NEXT」のイメージも強いのではないだろうか?)
年々人気を落としているJGTOとすれば、新規ユーザーの獲得が命題であるはず。
「SPOTVNOW」は解決策になり得るのか、については疑問が残る。
一方で、「SPOTVNOW」のYouTubeチャンネルは登録者120万超えの大型スポーツチャンネルであるため、YouTube運営のノウハウや動画制作スキルをJGTOが活用できるのであればメリットになるだろう。
配信先候補②:「U-NEXT」
配信先候補①の「SPOTVNOW」にとっては、プレミアリーグを奪われた宿敵ともいえる「U-NEXT」も候補である。
「U-NEXT」は、株式会社U-NEXT(ユーネクスト)が提供する国内最大規模の動画配信サービスである。
2007年のサービス開始以来、国内動画配信サービスの先駆けとして、市場シェアや取り扱いコンテンツ数を拡大。スポーツだけでなく国内外ドラマや映画、アニメ、電子書籍、アダルトコンテンツなど34万以上のコンテンツを取り扱っている。

考察:ゴルフへの注力
「U-NEXT」では、PGAやJLPGAなどの人気ゴルフコンテンツからDP Worldツアー(欧州男子ゴルフツアー)やTGL(次世代ゴルフリーグ)といったコアファンに刺さるコンテンツまで幅広いラインナップを配信している。
複数のゴルフツアーを視聴したいと考えるユーザーにとって「U-NEXT」が最も適したサービスであるといえるだろう。
「U-NEXT」でゴルフを視聴しているユーザーからすれば、当然JGTOの配信も「U-NEXT」で視聴できると思うはず。「U-NEXT」が配信権を狙っていくのは間違いだろう。
配信先候補③:「DAZN」
3つ目の配信先候補は「DAZN」である。
プロ野球やJリーグをはじめ国内外のスポーツを多く配信しているためスポーツファンであれば一度は聞いたことがあるサービスだろう。
そんな「DAZN」もJGTOの配信権を狙ってくる可能性が高いとみている。

考察:JLPGA配信の実績
「DAZN」がJGTOの配信権を狙う理由に、国内女子ゴルフツアー(JLPGA)の配信実績が挙げられる。
「DAZN」は2022シーズンから3シーズンに渡ってJLPGAの配信を行なっており、国内ゴルフファンを多く抱えているサービスのひとつでもある。
JGTOの配信権は「DAZN」のファンに刺さるコンテンツであることは言うまでもないだろう。
またJGTOとしても、ゴルフコンテンツの配信実績と国内スポーツ配信サービスで知名度の高い「DAZN」は頼り甲斐のあるパートナーであるといえる。